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TEXとは? セミナーとは? 数理科学入門セミナーとは?

山口大学理学部数理科学科1年生の必修科目に「数理科学入門セミナー」(2単位)があります. これは, 後期の講義で, 10月に始まりました. 講義と言っても, 履修者が黒板の前に立って, 黒板を使って数学の問題を解説することが主です.

第1回目10月6日は, 履修者各人がノートパソコンを持参して, ノートパソコンの中にTEXを入れました. 教員5人に, TAの大学院生3人計8人の総出で, 履修学生のパソコン作業を手伝いましたが, 上手くTEXがパソコンの中に入らなかった人もいました. 1年生のみなさん, 嫌がらずに, TEX をパソコンの中に入れて, TEXを使えるようになってください. 私はオンライン論文投稿が上手く出来ず, もう一ヵ月になります. 完全に困っています. オンラインは本当にストレスです. しかし, みなさんには, 近くに数理科学科の教員がいますので気軽に聞いてください. 「TEX」は「テフ」と読みます. これは, パソコンで数式をキレイに書くソフトウェアです. 私が論文を書くときに, いつも使っています. そして, TEX を使うのにいつも苦戦しています. 1年生のみなさんには, この TEX に少しずつ慣れて頂きたいと思います. 4年生のときに書く卒業論文は, TEX を用いて書きます. TEX が使えないと卒業できません! 2年生前期の「数理科学基礎セミナー」(2単位), 3年生後期の「数理科学発展セミナー」(4単位)でも, TEX を使うと思いますので, 1年生のうちにある程度使えるようになってください. 教職を志す人は, 自前の教材を作るときに TEX が使えれば便利だと思います. 大学院を志す人は, 大学院で修士論文を書くのに TEX を使いますので, 今のうちから TEX に慣れた方がいいと思います. 私が大学1年生のとき, TEX の講義は前期に2回(計180分)ありました. その後, 修士課程に入るまで, ほとんどTEX を使いませんでした. しかし, 今の数理科学科の1年生のみなさんは, TEX から逃げられません. 覚悟してください!! でも, 数学を勉強するときは, ノートに自分で字を書く方がいいですよ. 私が論文を書くときは TEX を使いますが, その前に, 下書きを自筆でノートに書いて, 推敲してから, TEX を使います.

TEX を使うと下のように数式をパソコンで書くことができます:

\begin{eqnarray}
& & \left(\frac{1}{8}\cot^{2}\frac{\theta}{2}+\frac{1}{12}
+\sum_{n=1}^{\infty}\frac{nq^{n}}{1-q^{n}}(1-\cos n\theta) \right)^{2}\\
&=& \left(\frac{1}{8}\cot^{2}\frac{\theta}{2} +\frac{1}{12}\right)^{2}
+\frac{1}{12}\sum_{n=1}^{\infty}\frac{n^{3}q^{n}}{1-q^{n}}(5+\cos n\theta).
\end{eqnarray}
ここで, \(\theta\) は任意の実数 (ただし, \(\theta\) は\(2\pi\) の整数倍を除く.), \(q\) は \(|q|<1\) を満たす任意の複素数です.

何年か前の4年生の卒業研究でこれの証明にチャレンジしましたが, なかなか証明できず, 卒業研究のセミナーは進まずに大変な事態になりました. この恒等式はラマヌジャンが論文で述べたものです.

数理科学入門セミナー第2回目10月13日は, 履修者全員が演習問題に取り組みました. 問題は「線型代数」, 「微分積分」, 「論理」と盛りだくさんの内容です. 解答を書くのに, 教科書, 参考書, 自筆ノートを使ってもかまいません. むしろ, 持って来て使ってください. この日は, 解答を自筆で紙に書いて提出するだけで, セミナーはありません. 高校では, 解答として書いた文章は詳しくチェックされなかったかも知れませんが, 大学では, 解答に不必要なことが書いてあったら, 教員から「これ何?意味不明なことは書かない」とグチグチネチネチ(?)言われます. 他人が読んで, わかりやすい解答を書くように心掛けてください. 最終結果が正しいだけではダメで, その結果に至る過程を正しく理解していることも求められます. 高校生のときは, 雑な解答でも大目に見られていたかもしれませんが, 大学はそうではありません. 丁寧でわかりやすい文章を書くことを心掛けてほしいと思います. 教科書の文面を参考にしてください. 卒業論文で, 教科書の文面をそのまま真似して書くと, 「何でこれが成り立つの?」と指導教員から行間を指摘されることもあります. 何でも鵜呑みにしてはいけません.

1年生のみなさんが, 問題解答に苦戦しているところ私は教室でウロウロしていただけで, 申し訳なかったです. 「論理」の問題は難しいかなぁ, と思いながらウロウロしていましたが, 多くの一年生がめげずに取り組んでいました. 前期開講の「基礎セミナー」(2単位, 共通教育)で, 論理をしっかり勉強されたのだと思います.

第3回目10月20日が, 「セミナー」でした. 履修者は4つのクラスに分かれます. 各クラスで, 第2回目の演習で解いた問題を, 学生が黒板の前に立って, 黒板を使いながら, 他の学生や教員に向かって解説します. 他の学生や教員は, 解説を聞きながら, 黒板の字をノートに写します. 聞いている方が, 説明を理解できないとき, 疑問を持ったときに, 解説者に質問して説明を求めます. 解説者はそれに応じます. これが「セミナー」です. 解説する方も聞いている方も, 理解が不十分なことはよくありますので, 問答することで両者が考えている問題について理解が深まることがあります. そうでないこともありますが, 数学の勉強で, 昔から行われている勉強方法です. 2年生前期の「数理科学基礎セミナー」, 3年生後期の「数理科学発展セミナー」, 4年生の「卒業研究」(正式名は「特別研究」.) でもセミナーを行います.

普通の講義もそうですが, セミナーは発表する人にイジワルをする場ではありませんので, みなさんが発表するときに, わからないことがあれば恐れずに「わからない」と言ってください. 教員はヒントを出したり, 一緒に考えたり, 代わりに説明したりすると思います. セミナーで発表することを恐れないでください. 聞く方はエラソーにしない! (いつもエラソーに聞いているのは私だけ?) 礼を以て聞くことが大切です. 「無量寿経」に法蔵菩薩の実践が述べられています:

「かれは、求道者の行ないを実行しながら、自分や他人や自他両方を伤つけるような言叶を口に出すのをやめて、自分や他人や自他両方に利益と幸福とをもたらすような言叶を口にすること、そのことだけにいそしんでいた。」
(「浄土叁部経(上)」辫.54)

言うは易く行うは難し. これを実践できたらいいのですが, 私は4年生や大学院生のセミナーで, 文句ばかり言います. 黒板で, 2行で済む説明を10行も書かれるとイライラしてしまって. これはよくありません. ごめん.

20日の数理科学入門セミナーで, 私はクラスの学生たちに言いました.

「解答に使った定理や命题は教科书のどこにありますか?」
「その命題や定理で, 仮定されていることは何ですか?」

こういうことに気を付けながら数理科学入门セミナーに临んでください.

だんだん寒くなってきます. 朝ご飯をしっかり食べて, 体力を付けて, 数学の勉強を続けてください. 直ぐに理解できなくてもめげてはいけません. 続けていればそのうち理解は進みます. (南出)

 

参考文献

  • Bruce C. Berndt `Number Theory in the Spirit of Ramanujan’ AMS, 2006. (p.93)
    (この本は4年生の卒業研究のテキストに使いました. 上に書いたラマヌジャンの恒等式は, 練習問題になっています. そこでセミナーが長く停滞しました. 私が大学院生のとき, Berndt さんのリーマンゼータ関数の論文を読んで, 自分の論文の参考文献として引用したような気がします.)
  • Shaun Cooper `Ramanujan’s Theta Functions’ Springer, 2017. (p.96)
    (この本も4年生の卒業研究に使いました. 分厚過ぎて, 途中で挫折しました.)
  • G.H.Hardy 他編 `Collected Papers of Srinivasa Ramanujan’ AMS, 2000. (p.139)
  • 中村元?早島鏡正?紀野一義 訳註 「浄土三部経(上)」, 岩波文庫, 岩波書店, 1963. (p.54)

他に4年生の卒业研究のテキストとして,

  • G.E. Andrews `Number Theory’ Dover, 1994

も何度か使ったことがあります. 読んでいると楽しくなる本です. 最初の方は, 高校生でもチャレンジできると思います(山口県の高校生向けの講義で使ったような気がします.). 卒業研究の最後は, この本で, 級数の収束性(微分積分で学ぶ内容)に苦戦しながら, ロジャース?ラマヌジャン恒等式にチャレンジしました. セミナーの学生は, この本 p. 186 に書かれている “COUP DE GRACE’’ を気に入っていました. 数学なのでご安心を.

 

 

 

 

 

 

 

 

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